ある日の光風館

 

 

 

「ねぇねぇ、ゼロ〜」

 

 キリヤ達と共に光風館にやってきたゼロに、光に透ける金髪を揺らしてエルウィンが話し掛けた。

 笑いが隠し切れず、ニヤニヤした笑み。見た目とは裏腹に悪戯好きな彼女を知っているゼロは、警戒心をもろに浮かべた顔で問うた。

 

「……何だい?」

「キリヤから聞いたわよ〜。私の事、『美しいエルフの少女』って言ったんだって〜?」

「……ああ、あれのこと」

 

 

 確かキリヤに心の扉へ入られた際、シオンとしての過去を説明する為にそんなことを言った様な。

 

 

「もう〜、なんだかんだ言って、あたしのこと美人だって認めてるのね〜。照れちゃうな〜」

「……エルフは総じて容貌が整った人種だから。一般的な事柄を述べただけだよ」

「…ちょっと、それじゃ私が可愛くないみたいじゃない!」

「どう捉えるかは君の勝手だ。それに、美意識は人それぞれだから」

「何よその言い方〜!てか、やめてよね! こういう時だけそういう口調するの!」

 

 

 シオンの時みたいに話しなさいよー!と首根っこを掴み迫る彼女に、彼は如何にも鬱陶しそうな表情を作る。その反応にますますムキになるエルウィンと、涼やかに受け流すゼロの二人を、ある者たちは意外そうに、ある者たちは苦笑を交えつつ暖かく見守るのだった。

 

 

 

END

 

 

 

 

 

ドラマCDや、ウィンドのイベント時の雰囲気から思い付いた話です。

エルウィンは美人だから、黙ってたらすごくもてるだろうに、喋るとぽやぽやすぎて残念なタイプだよなーなんて思いながら書きました。

書かなくてもお分かりでしょうが、ある者たちは前者がルミナスナイツ、後者がヴァイスリッターです。

ヴァイスリッターのこういったくだらないやりとりが好きです。ブレイドにゼロがちらっとでも出ると…いいなぁ。

大変短いものですが、ご拝読下さり有り難うございました!

 

2012.2.29