Another wonder land

 

 

 

 昔、オレはメルヘンの世界の夢を見ていた。

 魔法のある世界。妖精や魔女が住む、ここではない世界。

 でも絵本に描かれていたそれらは、お伽話だということはもうわかっている。現実には、決して存在しない。

 現に、オレは何かの力に目覚めることも、どこかの異世界に呼ばれることもないまま、平凡で無難な学校生活を送っていた。

 

「はいギンタ!」

 

 授業の終わりを知らせる鐘の余韻が響く教室で、小雪が差し出したお菓子の包みに、ギンタは訝しげな目を向けた。

 

「……何だこれ?」

「何って、今日はハロウィンでしょ?」

 

 見れば女の子たちが皆包みを持ち寄り、友人とお菓子の渡し合いをしている。バレンタインかよとギンタは内心独りごちる。

 

「ああ、あの『お菓子をくれないと悪戯するぞー』って奴か」

「そう。だから悪戯される前にギンタに、ね?」

「オレは悪戯しねーし!」

「わかってる! 私があげたいだけなの」

 

 笑う彼女に思わずムキになると、素直に言ってくれるものだから知らず顔が熱くなる。ギンタは顔を背けながらポケットをまさぐった。

 

「……今持ってるのガムしかねぇけど……いる?」

「いるー!」

 

 両手を上げて喜ぶ小雪に、「ほらよ」と取り出したガムを投げ渡した。

 

「今度パフェでもおごってやるよ」

「ありがとー!」

 

 屈託なく笑い走り去る彼女に、ギンタはかすかに笑う。離れた小雪は、遠巻きに見守っていた友人たちの輪の中に戻っていく。

 ……小雪は幼い頃から変わらず、ほかの友達もいるのに自分に構ってくれている。

 中学の頃「メルヘンの世界がある」と言い張って、クラスメイトに白い目で見られた自分に。

 ……でも馬鹿にされるのも当たり前だ。だってそんな世界はないんだから。

 

 

 

「ただいまー」

「おかえりー。おやつあるわよー」

「へーい」

 

 学生服の上を脱ぎ、気のない返事をしつつキッチンに向かう。

 ギンタは帰宅部だ。特にしたいスポーツもなく、興味のない部活に籍だけ置くつもりもなかったので自然とそうなった。小雪からは高校入学を機になにか始めてみたら? と言われたが、結局どこの部への見学も行かなかった。

 テーブルに置かれたハロウィン用にデコレーションされたクッキーをつまみながら、ギンタは母の手元を覗き込む。

 

「何やってんの、母ちゃん」

「んー? いつものやつよ」

「新作?」

「うーん、これは違うかな。趣味の範囲」

 

 絵本作家であるギンタの母は、普段文章を書くときに使っているパソコンではなく、机に画用紙と色鉛筆を広げていた。

 

「一度やってみたかったのよ、自分で鉛筆削ってやるの。すごい本数使うから全部のページは無理なんだけど」

「へぇー」

「色を混ぜるのが難しいから、売り物には使いにくいのよ。でも味わいがあるから良いのよね」

 

 ふとカッターナイフを握る手を止め、机の端に置いた袋を手に、背の伸びた息子に母は振り向く。

 

「そうだ。これ××さんの最新作。読む?」

 

 紙袋に包まれていたのは、母の作家仲間の新刊。ギンタが小学生の頃から続いている人気の児童書シリーズだ。

 

「いや……別にいい」

「……昔は好きだったのに、もう読まないの?」

 

 少し淋しそうに言った母に、ギンタは薄く笑む。

 

「……母ちゃんの絵本は好きだよ。でも……」

 

 最後まで口にはせず、「クッキー美味かった」と言い置いてギンタは自室へと戻る。

 部屋の扉を閉めた。

 

 

 所詮はすべて作り物。人間の想像が創り上げた妄想。

 メルヘンの世界なんて、きっと、どこにも無い。

 

 

 

 宿題を適当に終わらせ、先日寒くなったため毛布を入れかえた布団に寝転がる。

 何となしに部屋を眺めると、机の上に置いた小雪のくれた飴玉が目に入った。

 歯磨きをした後だが、一つくらいならいいだろう。体を起こし、ギンタはお菓子の包み紙を解く。

 口の中に飴を放り込んだ。

 舌の上で転がる甘さにどこか酔いそうになりながら、布団に戻ったギンタはゆっくりと眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 ……真っ白。

 真っ白だ。

 霧のような大気に包まれて、ギンタはただ立っていた。

 

「ここ……どこだ?」

 

 何故こんな所にいるのだろう。きょろきょろするギンタの前に、一つの影が現れる。

 影の色が濃くなる。まるで白いカンバスから浮かび上がるようにして、一人の人物の姿が立ち現れた。

 ギンタの前に立っていたのは少年だった。年はおそらく同じくらい。ツンツンとした独特の癖がついた髪の色は、夜の闇を宿した藍色。

 用があるのか、少年はギンタの顔をじっと見つめてくる。

 

「……何だよ。お前誰?」

「誰、というのはご挨拶だな」

 

 本意ではないという気持ちを隠しもせず、少年は不服そうに言った。

 

「キミの所為で、オレはここまで来てるのに」

「オレの所為?」

 

 聞き返したギンタに、少年は答える。

 

「オレの役目は案内人。迷い込んだ魂を元の世界へ送り届けるのが勤めだ」

「案内人?」

「そうだ。自分の状況はわかるか?」

「状況って……オレはたしか……」

 

 ギンタはいつものように、風呂に入り、布団を敷き、いったん寝転がり、その後飴を食べ床に着いたことを彼に言った。すると彼は渋い顔をした。

 

「……寝る前に物を食べるなよ」

「別にいいだろ、飴の一つぐらい。てか、じゃあここってオレの夢の中ってこと?」

「そうとも言うし、そうでないとも言える」

「……どういうことだ?」

 

 少年は落ち着いた様子で答えた。

 

 

「ここは霊界。キミ達の世界で俗に言う『あの世』だよ」

 

 

 ギンタは言葉を失くす。色々と尋ねたいことがあるはずなのだが、少年の紡いだ単語の持つ衝撃に打ちのめされた。数秒遅れて「え…」と間抜けな声が出たきり、固まってしまう。

 この時、ギンタは既にこの不思議な少年の話を“信じて”いたのだが、その事実には気付かなかった。

 

 

「………オレ、死んだの?」

「いや。キミの本体はベッドでぐっすり眠っている。今は意識だけがこっちに喚ばれた状態だな」

「……それ平気って言えんのか?」

「一晩以内に戻れば、魂は完全に肉体を離れないから死なずに済む」

 

 

 大丈夫なのかそうでないのか、彼の淡々とした物言いではいまいち把握しきれない。

 不安な表情が消せないギンタに、少年は説明が足りないと思ったのか言葉を足してきた。

 

 

「眠っている間は、魂がとても無防備な状態なんだ。特に夢を見ているときは意識がこっちに引きずられやすい。だから人は時々不思議な夢を見る。……キミ達が見ている夢の景色の一部は、この世界のものでもあるんだ」

「……よくわかんねぇけど…でも何でオレだけ? 夢を見てるのはほかの奴だって同じだろ?」

「今日がハロウィーンなのもあるだろうが……」

 

 

 ギンタの疑問に、少年はふむとギンタを上から下まで見渡した。

 

 

「キミの魂は、やはり異界に近いんだな」

 

 

 知らず、ギンタの胸が音を立てる。

 

 

 『本当だよ! オレ夢で見たんだ!』

 

 

「……近いって?」

「この世界に来る生者は、異世界に憧れている者か、現実から逃げ出したいと思っている人間のどちらかだ」

 

 

 『102回! 同じ夢だぜ!』

 

 

 彼の言葉に、心がざわつく。

 

 

「どちらも共通点は、異世界の存在を強く信じている者。そういった人間は魂が引き寄せられやすいんだ」

 

 

 『メルヘンの世界だって? バッカじゃねぇの?』

 『お前一体いくつだよ。少しは現実見ろよ』

 

 

「……オレは信じてない」

「嘘だな。でなければここにはいない」

「信じてない!!」

 

 

 『ある! 絶対にある!!』

 

 

「異世界なんて、そんなもん何処にもない!!」

 

 

 否定の文言を、ギンタは大声で叫んだ。

 辺りがシンと静まり返る。己の怒鳴り声が耳の中で反響している。

 少年は静かな表情で、ギンタを見つめたままだった。

 

 

「……それでもオレ達はここにいる」

 

 

 ぽつりと言った少年に、ギンタははっと彼の顔を見た。

 

 

「キミがどう思おうと、オレ達はここに確かに存在している」

 

 

 彼の反応を認めたギンタは、少し後悔をした。何故だか罪悪感のようなものが胸に染み出てきて、居たたまれないような気持ちになったのだ。

 己の感覚に、ギンタは素直に従い彼に言った。

 

「………悪ぃ」

「いや。君にもなにか事情があるんだろう。深くは聞かないでおくよ」

「……」

 

 しかし暗い気持ちは拭えず、ギンタは俯き黙ってしまう。

 そんな彼をしばらく見ていた少年は、空気を変えるためか、大仰に溜息を吐いてみせた。

 

「……それにしても、君の国の人間の祭り好きには困ったものだな。大した信仰心もないくせに騒ぐだけなんだから」

「……祭り好き……って? どこが?」

「一月は正月で、二月はバレンタイン。三月はホワイトデーで、四月は花祭りとエイプリルフール。五月はGWに、八月はお盆。十一月は場所によるが収穫祭があるだろ? 十二月はクリスマスと年の瀬。そしてこの十月のハロウィーン。いちいち装いを変えなきゃいけないオレ達の身にもなってほしいよ、全く」

「……あのさぁ」

 

 中には祭りとは関係ないものも混じっている気がしたが、ぶつぶつ呟く彼にギンタは声をかける。

 

「ここって、『あの世』なの?」

「ああ、そうだ」

「オレ、帰れんの?」

「安心しろ、その為にオレがいる」

 少年はギンタをまっすぐ見つめて言った。その眼差しと言葉には、これまでで一番力強さがあった。

 

「一晩付き合ってくれれば無事に終わるさ。君のことは、必ず元の世界に返す」

「……ありがとう。えっと……」

「アルヴィスだ。ギンタ」

「……何でオレの名前……」

「オレは案内人だからな。そういうものなんだよ」

 

 アルヴィスと名乗った少年は、意味深に笑うと踵を返す。

 

「まずは記帳しに行くぞ」

「記帳?」

「君みたいに別の世界から迷い込んだ者……『渡界者』は記録をつけなければならないんだ」

「とかいしゃ?」

 

 さっきから彼の言葉を繰り返してばかりだと、ギンタは思う。しかしギンタには知らないことが多すぎた。

 アルヴィスは足を止め、ギンタの問いに細かく答えてくれた。

 

 

「君の魂は今、本来の居場所を見失った状態だ。このままだと他の死者の魂と同じように、うっかり死の航路に行きかねない」

「げ……」

「けれど、肉体の目覚めが近くなる夜明け前にならないと、肉体と魂を結ぶ道は見えないから帰ることはできない。だからそれまで、この世界に滞在する為のパスポートを発行してもらいに行くんだよ」

「パスポート……」

 

 

 『あの世』なのに妙に馴染みのある単語だ。現実世界との共通点に、どこか可笑しいような心地をギンタは覚える。

 

 

「大抵ここに来るのは死者か、君みたいに迷い込んだ魂だが……時々名簿に登録されていない、悪意を持った魂が来るときもあるからな。そういったヤツらと区別するための証さ」

 

 

 そこまで言うと、アルヴィスは再び歩き出す。

 

「そう遠くはないからな、さっさと行くぞ」

「お、おう!」

 

 何はともあれ、こうなったらとことん楽しんでやろう。忘れかけていた高揚感が、胸に昇ってくるのを感じながら、ギンタはアルヴィスの後を追った。

 

 

 

 

 道の先から、水音が聞こえてくる。

 滝のように激しくない、緩やかな水の流れ。霧が少し晴れて、二人の前には悠々と流れる大きな川があった。

 向こう岸は距離があるのか、それとも遠くの霧に隠れているのかよく見えない。

 川の縁には、木のような素材で作られた小さな建物があり、軒下には桃色の髪の少女が座っていた。

 

「……あら」

 

 ギンタとアルヴィスを見つけ、つまらなそうにしていた少女が表情を明るくし手を振る。

 

「やっほー、アルヴィスー」

「ドロシー、渡界者だ。彼の記帳を頼む」

「はいはーい。久しぶりね、こっちに来る人間は」

 

 えーっと、人間界からのリスト、リスト…と言いながら、ドロシーと呼ばれた少女が名簿をめくる。先程の発言に対し「そうなのか?」とギンタはドロシーに訊ねる。

 

 

「近頃はおとぎの国を信じてる子も、ずいぶん少なくなったからねー。別の意味でやばい子は増えちゃったけど」

「やばい子って?」

「自分の殻に篭もりすぎて、現実との境がわからなくなってる子。キミの世界でも話題になってるんじゃない?」

「う〜ん? ゲームのしすぎでどうの……って奴のこととかかな」

「さあね。詳しい所は知らないけど。でもキミみたいな人間とは確実に違うわ」

「……同じじゃないのか?」

 

 二人の会話に、後ろからアルヴィスが口を挟んだ。

 

 

「おとぎ話の元となった“不思議”は、日常の延長に存在しているものだ」

「日常の、延長……?」

「現実と少しだけ次元が違うけれど、でも共存しているの。人間の中には、たまにその不思議な世界が見えたり、ほかの人より強く感じ取ることのできる人がいるわ」

「へー……そうなんだ」

「比較的、芸術家とかに多いな。キミみたいに“夢”を見る人間もその素養がある。異界に近いというのは、そういうことさ」

 

 

 ドロシーがページをめくる作業の音を聞きながら、ギンタは幼い頃気になっていたことを聞いた。

 

 

「……妄想とかとは、どう違うんだ?」

「妄想というのは、願望が具現化されたものだ。自分の望む形を取っている」

「要は独りよがりなのよ」

 

 

 ドロシーが短く吐き捨てるように言った。アルヴィスは宥めるように苦笑しながら「悪いものだとは言わないけどな」と付け足した。

 

 

「だが外界を閉ざしているだけでは、何も変わることはできない。世界は決して、自分にやさしいだけのものでは無いから」

「……」

「はい、じゃあここに名前書いて。フルネームでね」

 

 

 彼の言葉には色々と考えさせられるものがあり、自然と神妙な表情になる。ギンタの思考を断ち切るように、ドロシーが名簿を開いて差し出した。

 

「えーっと、日本語でいいのか?」

「構わないわよ。君の字でわかるように書いてもらえればいいの」

「わかった」

 

 傍にあるペンでギンタは名前を記入する。ギンタの前に来た渡界者たちの名も書かれたそのリストには、さまざまな言語の文字が踊っていた。

 

「ギ、ン、タ……ふーん、ギンタっていうんだ」

 

 ページを見たドロシーは顔を上げ、手を前に出す。

 

「私はドロシー。霊界の記録係よ」

「よろしく。『ドロシー』って呼んでいいか?」

「ええ。私も『ギンタン』って呼んでいい?」

「ああ!」

 

 ギンタの返事にドロシーはにこっと笑った。大人っぽい雰囲気を持っているが、笑うと年相応の女の子って感じだな、とギンタは思った。

 

「よーし、じゃあちょっと待ってて。今パスポート作るから」

「お願いしまっす!」

 

 作業に取りかかる彼女から一歩下がると、背後に見える川に自然と視線がいく。

 

「なぁなぁ、この川ってもしかして……三途の川?」

「ああ、そっちの世界ではそう呼ばれてるわね」

「げぇっ!?」

「大丈夫よ。ここは冥界側じゃないから」

「? 冥界と霊界って違うの?」

「冥界は、三途の川の向こうにある死者の国。ここは魂だけの存在となった死者と生者が混在する霊界よ。…あれ、知らなかったの?」

 

 ギンタはアルヴィスをにらむ。

 

「……さっきは『あの世』って言ったじゃん」

「……説明が面倒だったんだよ」

 

 鬱陶しそうに返すアルヴィスとギンタのやりとりを面白そうに眺めつつ、ドロシーは手元の紙にポンとスタンプを押した。

 

「はい、これが霊界のパスポート。明日の日の出までの期限よ」

「おお、サンキュー!」

「そうそう、アルヴィス。ファントムから伝言。『そろそろパーティが始まるから、渡界者の子を連れておいで』って」

「げ」

「ん?」

 

 ギンタは首を傾げた。聞き間違いでなければ、今アルヴィスは「げ」とたしかに言った。

 ギンタとドロシーは、そろって彼の顔を見る。

 

「……サボっていいか?」

「来なければ怒るでしょうね。あいつ」

「……はー……」

 

 心底面倒くさそうな顔付きになるアルヴィスに「諦めなさい」とにべもなくドロシーが言う。

 

「パーティって?」

「……ハロウィーンにかこつけて、騒ぎたがる奴らがいるんだよ」

 

 アルヴィスはがしがしと頭を掻いた。

 

「まあ確かに、現実世界でのイベントに合わせて、こちらも格好を変えなくちゃいけないルールではあるんだけど……毎回皆やりすぎなのよねぇ」

「その筆頭が、皮肉にもここで最も偉い奴だからな……」

 

 嘆息する二人に、何気なくギンタは言った。

 

「ふーん……最も偉いってことは、神様みたいなもんか?」

「「かみさまぁ!?」」

 

 勢いよく首をこちらに向けた二人の形相と声に、ギンタは思わずびくっと身を引く。

 

「あんなのを神様なんて言ったら、本当の神様から罰が当たるわ!」

「全くだ。むしろアイツは悪魔に近い!」

「あ、悪魔って……」

 

 ……容赦ない謂われようだ。

 

「……いけない。こんなこと言ってるってばれたら、また五月蝿いわよ」

「それもそうだな……仕方ない。ギンタ、パーティに行くぞ。どうせ明日の日の出まですることもないしな」

「お、おう」

 

 何かを振り払うように首を振った二人の間では結論が出たらしく、川から見て東側へアルヴィスが歩き始める。ギンタの意思は殆ど置いてけぼりだったが、何だか逆らえない雰囲気があった。

 

「あれ、ドロシーは行かないのか?」

「私はシフトが終わるまでもう少しかかるから。先に行ってて」

「そっか。じゃあ後でな!」

「うん! 明日まで楽しんでってね、ギンタン!」

「ああ!」

 

 ドロシーに片手を上げつつ、ギンタは数歩先で待つアルヴィスの元へ走り、川のほとりを後にした。

 

 

 アルヴィスにしかわからないルートで、ギンタは霊界を巡る。どこかで見たことあるような、そうでないような景景をいくつも通り過ぎる。

 いつの間にか周囲は夜のように暗くなっており、やがて前方に沢山のオレンジ色の灯りが現れる。カボチャをくり抜いて作られたジャック・オー・ランタンだ。

 そして、二人は広場のような場所にたどり着いた。人工的な石造りの地面で、写真だけでしか見たことはないが、まるでヨーロッパのようなお洒落な街並みだ。あちこちに無数のランタンが揺れ、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 だが……。

 

「……すげー」

 

 若干呆れすら交じったギンタの声に「皆まで言うな」とアルヴィスは渋い顔をした。

 ハロウィーンらしく、陽気な音楽の流れる中、ランタンの下ではさまざまな仮装をした者達が踊り狂っていた。そこまではいい。しかしその数のあまりに多いこと。広場のほとんどのスペースが、お化けや妖怪で埋め尽くされている。 

 

「ハロウィンの仮装って……たしかミイラとか外国のお化けだよな。なんで河童や赤鬼とかもいんの?」

「言うな」

 

 お祭り好きで有名なブラジルの人だって、こうまで張り切ってはいないのではないだろうか。とある下町で見たサンバカーニバルがギンタの頭をよぎった。

 

「よー、アルちゃん! 楽しんどるかー?」

「ナナシ…もう出来上がってるな」

 

 樽のような形状のジョッキを持った長身の男が、アルヴィスの後ろから顔を出した。頭の横には謎のお面をかけており、彼もどうやら仮装に加わっていたらしい。

 

「まだまだ序の口やでー? ……ん? なんやそいつ、見かけん顔やな」

「今日来た渡界者だよ」

「ほぉー」

 

 男がギンタへ視線を向ける。男性にしては長い髪の間から、切れ長の瞳が人懐こそうにギンタを見た。

 

「自分はナナシっちゅーモンや。キミは?」

「オ、オレはギンタ! 宜しく!」

「ははぁ、お前かぁ。ファントムが話してた渡界者のガキってのは」

 

 また別の声がして、ナナシの横にさらにガタイの良い男が現れた。年は父と同じぐらいで、手には独特の形の葉巻を持っている。

 ギンタの顔を真っ正面からじろじろと見てアランは呟く。

 

「ふぅん、やっぱアイツに似てんなぁ」

「……? オッサンは?」

「オレはアランだ」

「お疲れ様です、アランさん。パトロールはどうでしたか?」

「今年は比較的落ち着いてんなぁ。紛れてくる輩はほとんどいなかったぜ」

「そうですか。良かった」

 

 パトロール……ということは、彼は先程アルヴィスが言っていた“悪意のある魂”とかを取り締まる仕事なのかもしれない。たしかに腕っ節は強そうだなと、ギンタはアランを見上げる。

 

「っつーことは、今日迷い込んできたんはコイツだけやっちゅーこと?」

「ああ、幽霊でもないのに珍しい奴だぜ」

 

 面白がっている口調だったが、不思議と腹は立たなかった。それは彼の目に宿る、懐かしいものを見るような光のためだろうか。

 

「パスポートはとったんやろ?」

「あ、うん」

「なら、折角ここに来た訳やし」

 

 ナナシはにっと笑うとギンタの肩に手を回し、周囲に向かって声を張り上げる。

 

「皆ー!久々のお客さんやでーー!! 歓迎しよーや!!」

「「おーー!!!」」

「え、ちょ、えええええ!?」

 

 ナナシのかけ声に、広間にいたお化けたちが次々とギンタを取り囲む。「ちょっと、待てって!」という声もどこへやら、お化けたちに押されるままギンタは人の渦に飲まれていく。

 諦めろ。人混みの向こうには、そう言いたげなアルヴィスの苦笑があった。

 

 

 

 

 ……そういえば、昔は絵本も漫画も大好きだった。

 物語の主人公のように、魔法でこんなことが出来たらって、毎日たくさん絵を描いてた。

 自分の知らない世界を思い描くのが楽しかった。

 そして、ある時から見始めた夢。別の世界の夢。

 たしかにこの手で触れて、感じていた世界。

 それ以来、毎晩「今日も夢が見られますように」と願ってた。

 

 

 忘れてた。こんなワクワクした気持ち。

 

 

「ふぇー……疲れた!」

 

 人の輪から解放され、ギンタは通りにあるベンチに腰を下ろした。

 しかし楽しい気分は消えることなく、己の口元にはずっと笑みがあって。それを自覚したギンタは更に笑いを零した。

 騒ぎには加わらず、ギンタ達の様子を眺めていたアルヴィスも、どことなく微笑しているようだった。

 そこへ一人の青年が近付いてきた。

 

「やあ、アルヴィス君」

「……ファントム」

 

 ゆったりとした立ち振る舞いと、神秘的な銀髪。端正な顔立ちの彼を、アルヴィスは非難めいた目つきで見た。

 

「人をわざわざ呼んでおいた割には、遅い登場だな」

「僕にだって立場があるからね。トラブルが起きてないかちゃん見回らないと」

「どうだか」

 

 ふんとアルヴィスは鼻を鳴らす。

 

「言うだけ言って、パーティの準備もどうせ見ているだけだったんだろう?」

「やだなぁ。僕だってちゃんと用意したよ」

「どれをだ?」

「ほら、あのティッシュの花」

「……子供の誕生日会か」

 

 終始のんびりとしたファントムに対し、アルヴィスの口調は刺々しい。

 ギンタの記憶に間違いがなければ、このファントムという名の青年は霊界で一番偉い人(?)だ。しかしアルヴィスの態度は、完全に目上の人間に対するそれではない(さっきのアランとは大違いだ)。

 しかし彼らの雰囲気は悪くはない。何だかんだいって、二人は仲が良いのだろう。

 そんなことを考えていると、ファントムがギンタに視線を移してきた。涼やかな紫の瞳に見つめられると、心の奥を見透かされるような、そんな心地になる。

 

「久しぶりの渡界者だってね、名前は?」

「……ギンタ、です」

 

 学校の先生にするように、丁寧な言葉遣いになる。ファントムは微笑んだまま言った。

 

「よかったね。僕たちが魔物じゃなくて」

「え?」

「ハロウィンで何故仮装をするか知ってるかい? ハロウィンは魔物達の夜。彼等の中に紛れるためさ。人間だとばれてしまうと、魂をとられてしまうんだ」

「………」

 

 何を言われるのかと身構えていたギンタは、どんな反応をすればいいか考えてしまった。横のアルヴィスがたしなめるように言う。

「おい、あまり怖がらせるな。まだ子供なんだから」

「べ、別に怖くねーし! てか子供って、オレもう高校生だぞ!」

「あ、僕たち、三百年くらい生きてるから」

「……マジで?」

「ああ」

 

 さらっと告げられた一言にギンタは唖然とする。アルヴィスも平然と頷くので、逆に実感が湧いてこなかった。

 

 

「何でも見た目通りと思ってはいけないよ」

 

 

 ファントムは笑みを意味ありげなものにした。

 

「ギンター! 次はお菓子早食い競争っスよー!」

「あ、やるやる!」

 

 無意識に溜まっていた唾を飲み固まっていたギンタだったが、ジャックの声に誘われ、またパーティの輪の中に戻っていく。その様子を、アルヴィスとファントムは遠くから見守っていた。

 

 

 

 

「すごいっスギンタ! また一位じゃないっスか!」

「へへ、まあな!」

 

 ジャックの賞賛に、ギンタは素直に胸を張る。ジャックは先程広場でもみくちゃにされている時に話した少年だ。見た目の年が近い彼とギンタは、あっという間に仲良くなった。

 腹一杯お菓子を食べるなんて、いつ振りだろう。

 

「ギンタ、ほれ! お主も飲まぬか!」

「何だこれ……酒?」

 

 ケン玉のオバケらしいバッボが跳ねながら持ってきた(…どこに手があるんだろ)コップからは、どう嗅いでも酒の香りがする。それとなにか甘い……フルーツだろうか。

 

「無論じゃ。酒を飲まなくて何を飲む!」

「オレ未成年なんだけど…」

「それが何じゃ。何か問題でも?」

「大有りだろ! ……って皆飲んでんのかよ!?」

 

 見れば当然のように、ジャックやアルヴィスも同じ物を飲んでいる。

 

「どうせ夢の中だ。ここで君の世界の理屈は通じないよ」

「それはもう知ってる……ええい、飲んじゃお!」

「お! 良い飲みっぷりじゃねーか!」

 

 覚悟を決めて一気に飲み干したギンタの頭を、顔を赤くしたアランがぐしゃぐしゃとかき回す。空になったコップに、誰かが二杯目を注いだ。

 生まれて初めてのお酒だ。でも、よくわからない。さらに飲ませようと伸びてくるバッボらの手を逃れて、すぐ側のベンチに腰掛けると、ギンタは改めてもう一度それを口にした。アルコールが入ってる筈だが、酔うような感じはなかった。

 

「……あ、これ結構うめぇ」

「でしょ〜! エドが作ったリンゴ酒は最高なんだよ!」

 

 するとギンタの隣に、両手でグラスを抱えた少女がにこやかに笑いながら座った。

 ショートカットの青い髪に、ピンクの大きなリボンがアクセントとなっている。

 ギンタを真っ正面から見た少女は、大きな瞳を数回ぱちぱちとした。

 

 

「……あれ……あなたは……」

 

 

 彼女の顔をもう一度見て、ギンタは思わず呟く。

 

 

「小雪……?」

 

 

 彼女と目が合った瞬間、ギンタは時間の流れがゆっくりになったように感じた。

 ギンタの発言に数秒間、目を見張ったように見えた少女は、幼馴染の彼女と同じ姿で笑った。

 

 

「私、スノウって言うの。あなたは?」

「……オレは……ギンタ」

「ギンタ、だね。初めまして!」

 

 

 差し出された彼女の小さな手を握る。途端に周りの音が小さくなって、まるで世界に二人だけになったような気がした。

 シンパシーとでも呼ぶのだろうか。

 この瞬間、ギンタは彼女と同じ感覚を共有していると、本能で理解していた。

 

 

「……不思議な感じ。私どこかで、あなたのこと知っていた気がするの」

「……オレもスノウのこと、ずっと前から知ってた気がする」

 

 

 そこまで口にして、ギンタはかぶりを振る。

 

 

「……気じゃないな。ずっと、知ってたんだ」

 

 

 幼い頃に見た、夢の中で。

 今ははっきりと、そう言い切れた。

 

「そうだね。私はあなたを、あなたは私を。ずっと感じてた」

 

 

 スノウの眼差しに、ギンタの胸に熱いものが込み上げる。照れくさい気持ちを誤魔化すように、ベンチに座り直すとリンゴ酒を口に含んだ。

 ぐびっと煽るギンタの横顔を覗き込みながらスノウが聞く。

 

「この世界はどう?」

「ああ……」

 

 ギンタは辺りを見回す。

 

 

「変なものがいっぱいあって、よくわかんなくて……」

 

 

 そして目を細めた。

 

 

「でも……すごく、好きだ」

「そう」

 

 

 ギンタの答えに、スノウは嬉しそうに微笑んだ。彼女に向いて、ギンタもまた、微笑み返した。

 

 

 

 

「……最初来た時より、いい顔をしているな」

 

 

 ギンタを最初に会った場所へと案内しながら、アルヴィスは言った。夜が明けるまではまだ時間があるらしく、周りの風景は暗い。

 

 

「うん。何だか、ちょっと楽になれたかも」

「そうか。良かったな」

「うん」

 

 心なしか晴れやかな表情で頷き、ギンタは軽い足取りで草原を踏みしめる。

 

「けど、たった一晩しかいられないなんて寂しいな…」

 

 ポケットに入れていたパスポートを眺め、戻そうとしてあることを思い付き、ギンタは隣の彼に提案する。

 

 

「なあアルヴィス、今度は皆がオレの世界に遊びに来ないか? 夢を通じて行き来できるなら、皆だってこっちの世界に来られるんだろ?」

「………それは無理だよ」

 

 

 アルヴィスが立ち止まる。急に途絶えた足音に、彼より何歩か前に進んだギンタは振り返る。アルヴィスは、少し寂しそうに微笑んだ。

 

 

「言っただろう? ここは霊界、魂だけの存在となった者の世界だ。三途の川を渡るために、死者が冥界へ向かう前に訪れる場所。ここは本来、君の世界にいられなくなった者たちの世界なんだ」

「え……?」

 

 

 彼の言葉に、どきりとする。

 この夜に聞いてきたことのいくつかが繋がり、ギンタはその事実に思い至った。

 

 

「……ってことは、アルヴィス。お前は……」

「……そろそろ時間だな、ギンタ」

 

 

 かすかに微笑んだまま、アルヴィスが後ろを指差した。

 つられて振り返ると、ギンタの目の前に道が出来ていた。

 霧が晴れた暗闇に、ぼうっと浮かび上がったそれは、目を凝らすと両側に小さな光がいくつも瞬いている。まるで星の光みたいだ。

 

 

「これが……」

「魂と肉体を結ぶ道だ。まっすぐ君の身体に繋がっている」

 

 

 今日の終わりが近付いていると、景色が告げていた。

 

 

「ギンタ、これを持って行け」

 アルヴィスはどこからか、持ち手の付いたそれを取り出した。街でも揺れていたカボチャのランプだ。

「ジャック・オー・ランタンには道しるべの役割がある。これを持っていれば、迷わず元の世界へ帰れるだろう」

「……サンキュ」

 

 

 ギンタがランタンを掲げると、真っ暗な足元にオレンジの光が灯る。暗がりに続く魂の道を、ギンタは見つめた。

 

 

「……来たな」

「え?」

「おーい、ギンター!」

 

 アルヴィスがなにか呟いたと思った途端、遠くから聞き覚えのある声がして、ギンタはそちらの方を見やる。

 すると草原の向こうから、手を振りながらジャック達が駆けてきた。

 

 

「ま、間に合った〜! パーティが長引いちゃって…」

「ファントムのやつが調子に乗るんだもの。相変わらず勝手よね」

「ジャック、ドロシー、皆……!」

「良かった! 最後にまた会えて!」

 

 

 息を整える合間に、スノウが先程と同じ笑顔で笑う。

 

 

「皆、見送りに来てくれたのか」

「当たり前じゃないっスか! オイラ達もう友達っスよ!」

 

 

 たった一晩という短い時間でも、そんなことを言ってくれるジャック達にギンタの心が暖かくなる。

 集まった人々は、思いおもいに別れの言葉を述べる。

 

 

「じゃあね、ギンタ!」

「楽しかったで! 気ぃつけて帰りや」

「達者で暮らすのじゃぞ!」

「ギンタン、また会えたら嬉しいな! ……って、現在(いま)を生きるあなたには、不謹慎かもね」

「そ、そんなことねーよ! オレ楽しかった!」

 

 

 苦笑混じりのドロシーに慌てて答えた後、ギンタは一人ひとりの顔を見渡す。

 

 

「オレ……良かったよ。ここに来れて。ありがとう、皆」

 

 

 ギンタの真摯な眼差しと言葉に、一同は微笑んだ。

 

 

「……そんなこと言ってもらえるなら、霊になった甲斐があるってもんね」

「せやな」

「お前はカルマの返済終わってるのに、なぜかここに残ってんだからな。物好きなヤツだぜ」

「カルマ?」

「今度来たとき教えてやるさ」

 

 

 疑問符を浮かべたギンタに、アルヴィスは悪戯っぽく笑った。

 

「……わかった」

 

 彼と皆に思い切り破顔して、ギンタはジャック・オー・ランタンを片手に歩き出した。

 

 

「じゃあな!」

 

 

 一歩目はゆっくり、二歩目からは踵に力を込めて駆け出す。背中に皆の声が届く中で、アルヴィスが小さく返事をしたのが確かに聞こえた。

 

 

「またな」

 

 

 

 

 魂と肉体を結ぶ道は長く、闇の中に大きく口が裂けたようにずっと続いている。終わりがないようにすら思えてしまう。

 けれど、胸に灯った気持ちのお陰で怖くない。足を止めることなく、ギンタは前に進み続けた。

 やがて、道の先が明るくなる。星のきらめきが空に溶け込み、夜明けの白い光がギンタを包み込む。

 大気を染める朝の光は、ランプの中で燃えている灯りに似ていた。

 

 

 

 

「おっはよー、ギンタ!」

 

 次の日、十一月一日の朝。通学途中でギンタの後ろ姿を見つけた小雪は、いつも通り駆け寄って声をかけた。

 

「おはよ、小雪」

 

 軽快に返したギンタに、小雪は不思議そうな面持ちとなる。

 しばらく並んで歩き、彼の表情を窺う。それから尋ねる。どこか確信に満ちた聞き方で。

 

 

「……何かいいことあったの? ギンタ?」

 

 

 ギンタは足を止める。口元には笑みが覗いていた。

 しかし彼女の質問には答えず、再びすたすたと歩き始める。

 

「あ、待ってよー!」

 

 リュックの中身を揺らし、小雪が追いかける。その靴音を聞きながら、ギンタは上を見上げる。

 

 

「……メルヘンの世界って、本当にあるのかもな」

 

 

 頭上には、真っ青な秋の空と木々が広がっていた。

 

 

 

 

END

 

  

 

 

 

漸く終わりました。完結まで時間かけすぎ…というのは、いつものことなので言い訳はしません。すみません(土下座)

では時間がかかった分、この話の設定と補足説明をさせて頂きます。

 

今回の話の雰囲気は、全体的に本編より少し年上のギンタ視点で淡々とした、朴訥としたものと、霊界のごちゃごちゃした世界観を目指しました。

ギンタが迷い込んだ霊界は、冥界に行く前の死者が訪れる場所。

本文中でアランが言っていたカルマは、生前その魂が行う筈だった善行、ノルマの様なもの。冥界での仕事を果たすことで、足りないカルマを返すことが出来ます。

カルマの返済が終われば、冥界に行くことができ、新しい魂として生まれ変わることが出来るのです。

本文で示唆していたように、アルヴィスやドロシー達は、カルマが足りず霊界に留まっている存在、という訳です。

 

なおナナシさんが冥界に留まっているのは、実はアルヴィス達が心配だからという裏設定があります。あとスノウは原作同様、小雪と一部の景色を共有しています。

またエドのリンゴ酒は、ハロウィンのモチーフにリンゴがあることからです。

ギンタが参加したお菓子早食い競争は、書きかけの段階ではリンゴ食い競争(アップル・ボビング)でしたが、気が付けばその部分が消失してました(今気付きました/苦笑)

 

コンセプトは「若干スレたギンタがもう一度メルヘンを取り戻す話」。

最初ギンタの口調はスレたのもあってぶっきらぼうな感じですが、アルヴィス達と会って徐々に昔の口調に戻っています。

あと高校生(十六歳)という設定なので、本編より背が伸びてます。だからアルヴィスと背丈はあまり変わらなかったり。

そんなことも意識して、短い文章の中に細かく要素を入れたりしています。

お時間がある時にでも、お読み返して頂いて「お」なんて思って頂けたら幸いです。

 

それでは、最後までご拝読下さり、また長い後書きまで目をお通し下さり、有り難うございました!

 

2015.2.4