prologue

 

 

 

 集合時間より早めにチェックアウトしたレオリオは、ホテル内に入っているショップに足を向ける。

 こじんまりとしたスペースだが、さすが一流ホテルと言うべきか。軒先の時点でも、ショップそれぞれにはブランド物はもちろん、質の良い物が揃っているのがわかった。

 その中の一つ、スーツや礼服などを主とした店に入る。

 物色したのち、棚の一角に並べられていた品に手が伸びる。最近目に付くようになった赤色だ。

 いくつか見比べたあと、やはり一番最初に手にとったそれをレジに持っていく。包装は断り、簡単な袋にだけ入れてもらう。

 ショップを出て、ロビーに戻る。待ち合わせ場所になっている入り口近くの柱には、ゴンと赤い外套に着替えたクラピカが待っていた。

 

「ん? おまえ服変えたの?」

「ああ」

 

 マントではない服は防寒着なのか、首元や袖口の生地が少し分厚めだ。

 一方見慣れた普段着のままであるゴンが、レオリオの手元の袋を目ざとく見つけて声を上げた。

 

「あ! 何買ったの?」

「ん? お子ちゃまには内緒」

「えー、いいじゃん。教えてよ」

「そのうちお披露目するから、その時を待ってろって」

「……ってことは、服?」

「さぁ、なんでしょう〜」

「あまり無駄遣いするのも控えろよ。飛行船のチケット代はすでに引き落とされてるとはいえ、列車の切符はまだなんだからな。……私は君の分まで払う気は無いぞ」

「そこまで使うかよ! お前はオレの母ちゃんか」

 

 やいのやいの言いながら、三人はハンター協会の運営するホテルを後にした。

 胸には真新しいハンターライセンスを納め、以前よりどことなく自信に満ちた表情で。

 その背中を見つめる人々の思惑もまだ知らず、三人は目的地へと向かう。

 目指すはキルアのいる、ククルーマウンテン。

 

 

 

 

→ 夜行列車の光の先 Ⅰ